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【自律神経と健康の基礎知識】睡眠リズムと自律神経|体内時計との関係を知る

どのようにして自律神経の機能を回復させるのか。まず大事なのは、睡眠の時刻をきっちりと見直すということです。先にもお話したとおり、人間にはサーカディアンリズムがあるので、たとえば同じ7時間睡眠でも、午後11時に寝て6時に起きるのと、午前1時に寝て7時間寝るのとでは、全く違った効果がもたらされます。

何故かというと、皆さんの脳にも体のそれぞれの臓器にも専門的にいうと「時計遺伝子」があり、時を刻んでいるわけです。ですから主時計、メインクロックというのは皆さんの脳にあります。ここがメインなんですけれども、内臓…腎臓も心臓もそして筋肉にも、それぞれに時計遺伝子があることがはっきりと証明されています。これらの時計遺伝子は、バラバラに動いているとよくないわけです。ホルモンの分泌が必要な時には内臓を動かして、休む時に休めないといけない。こういったサーカディアンリズムのメインを調節しているのが頭のメインクロックなんですね。ここに、朝起きた時に光が入って覚醒することによって目覚めてくるわけです。朝ご飯をしっかり食べることで臓器に食べ物も入っていて、「今、朝です。時計を同期させましょう」ということで内臓が動いてホルモンの分泌も始まって、一日が始まる。その時にクロックが同時スタートできるわけです。それを夜の1時に寝て朝起きた時にはもう眠くてしょうがなくて、朝ごはんを食べないとなると、もうあなたの時計はめちゃくちゃ狂った状態、体調が悪いのは当たり前、という話になるわけです。

夜景に重なる時計

大事なのはまず就寝時間を12時より前に寝る、「シンデレラ睡眠」とも呼ばれています。結局7時間同じ睡眠をとるのでも、12時前に寝る、ということが非常に大事なのです。急に睡眠の時間を変えることができないのであれば30分~1時間おきくらい少しずつ早く寝るようにして慣れていく。それで最終的にフィックスすると、土曜日であろうと日曜日であろうと同じ時間に就寝して、同じ時間に目を覚ますというのが、自律神経を正常に動かすための金字塔なのです。

ラベンダーとアロマオイル

このように睡眠によって皆さんのクロックが正確に働くので、あとは自律神経での活動レベルが高いのか低いかによって多少違いますが、まずはその睡眠のリズムと自律神経のタイミングをきちっと同期させる。これが非常に大事なことになります。

そのために朝日をしっかり浴びるとか、交感神経を少し元気にさせるためにランチの時にはちょっと遠出して歩いて行って帰ってくるとか、あるいは寝る前にストレッチしてから副交感神経をリラックスさせて寝るとか、アロマの香りを嗅いでから寝るとかして、なんかの形で自分の自律神経により活動しやすいような状態にして、睡眠と自律神経の活動を同期させてあげるということが非常に大事なことです。

自分の自律神経パワーを測定できるスマートフォンをお持ちの方もいますので、自分の副交感神経はアロマを嗅ぐとやはりこんなに上がるんだ、その日は何故か入眠が非常にしやすかった、などいろいろな体験があると思います。しっかり歩いた、いつもより階段を使って歩いたら、その日はとても入眠がしやすかった。そういう時に、普段から自律神経を測っていると、昼間運動すると夜の副交感神経が非常にリラックスしやすくなった、といった体験できます。人それぞれによって自律神経を元気にしたり、リラックスさせたりする刺激は異なると思いますので、自分で体験しながらいろいろなものにトライして自分に合った自律神経の活動のさせ方というのをスマホで連動して実際のデータと同期させながら確認していくと、ご自分の健康管理もできるんじゃないかと思います。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

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