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【自律神経と健康の基礎知識】睡眠と自律神経|良い眠りが大切な理由を知る

この時期、暑くて寝苦しい日が続く方も多いかもしれません。
今回は「自律神経と睡眠」ということについてお話をしたいと思います。

皆さんご存知のように、人間の一日の生活にはリズムがあります。通常はサーカディアンリズムといって朝日とともに交感神経が目覚めてきて、仕事があって、夕方ぐらいから副交感神経が活動してくるとかいうリズムがあるわけです。これが大体24時間で一巡りしており、それに合わせて睡眠があるわけです。

このように睡眠と自律神経というのは非常に切っても切り離せない関係があるにも関わらず、特に日本の女性の場合、先進諸国の中では睡眠時間がダントツに短い。男性も先進諸国の中では睡眠が短いほうです。そうなると、自律神経に何らかの影響を絶対受けるはずなんですね。

朝の寝室で伸びをする女性

その前に、まずなぜ寝ないといけないのか、睡眠は何のためにとるのかというと、最近の研究では人間の脳というのは、一日の体の全てのエネルギーの20%から25%を使う非常に活動的な臓器といわれています。つまり脳は、活動する一方で老廃物もたくさん出してくるわけですが、脳だけは特別なやり方でこの老廃物処理をしているといわれています。何故かというと、体の首から下にはリンパ腺、リンパ管というのがあって、体の老廃物処理は起きている間、寝ている時でもずっと四六時中処理が可能なわけです。ところが、最近の研究でわかったことですが、脳にはリンパ腺やリンパ管がないので、脳はこの大量に溜まった老廃物をいつ処理しているかというと、これは寝ている時だけなのです。

夜に眠る人と目覚まし時計

寝ていると、脳がしゅわしゅわと緩んでくるので、周りを囲んだ脳脊髄液(のうせきずいえき)というのが脳の弱くなったり緩くなったりしたところに滲(し)みるように入って、その脳脊髄液に脳からの老廃物が排出され、その脳脊髄液から脊柱の血管へ処理されます。処理が終わるのに必要な睡眠時間は、アメリカの睡眠研究の第一人者がいうように、私のような70才を過ぎた人でも7時間から8時間の睡眠が必要とされています。まして活動されている20代30代40代の人ですと、推奨睡眠時間は8時間から9時間というふうにいわれています。それを十二分にとっていないのが、今の働き盛りの方々なのです。そして、脳の老廃物処理が終わらない間ということは、自分の自律神経に対しても多大な影響を及ぼすわけです。ですから自律神経をきちっと活動させるためには、まず十二分に睡眠をとる必要は絶対にあるわけです。ある先生曰く、睡眠というのは皆さんの「生命維持装置」だといっています。つまり十二分に睡眠をとって老廃物を処理するから、自律神経も朝の目覚めとともにしっかりと覚醒して、熟睡に入った時に十二分に体を休める、こういうサイクルが非常に必要になってくるわけです。

ですから、睡眠時間は削ってはいけないということ、睡眠時間と自律神経とは非常に大きな関係がある、ということをまずもって知ってほしいということです。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

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