Topics

【ブル爺の自律神経入門】ストレスで食べ過ぎるのはなぜ?|自律神経との関係を知る

夕焼けの海岸

ストレス?それは編集者の友だちじゃ

本を持つブル爺
森谷敏夫氏の顔写真

〜 でも、仲良くしすぎるとまずいぞ 〜

ストレス?ワシら編集者には付きもんじゃったよ。本や雑誌の締切日前になると、胃も心臓もバクバク。ま、ストレスは、長年の友だが、付き合い方を間違えると、えらい目にあうのじゃよ。

森谷博士に訊くと、ストレスを感じると体は緊張状態に入り、交感神経がスイッチオンになる。本来、悪いことではない。

交感神経は、ワシらを元気に動かしてくれるエンジンみたいなもんじゃからな。

森谷敏夫氏の顔写真

ところが、ストレスでこの交感神経がずっと働きっぱなしになると、副交感神経との切り替えがうまくいかなくなるのじゃよ。

そうなると、心も体も休まらん。エンジンふかしっぱなしの状態じゃな!ストレスがかかると、脳は戦闘モードに突入して、大量のエネルギーを消費する。エネルギー源は糖。つまり血糖値がどんどん下がってしまう。これを防ごうと交感神経は「糖をくれ〜!」と叫び、血糖値を上げようとする。

そのせいで、食欲が急に増してしまう。そう、「ストレス食い」ってやつじゃよ。ついコンビニスイーツに手が伸びるのも、実はこれも自律神経のしわざなんじゃ。

腕を組むブル爺

一方、運動で交感神経が活性化されるのはどうかというと…これはまったく別物じゃ。ジョギングなどで体を動かすと、心臓はドキドキ、呼吸はハァハァ、筋肉はフル稼働。交感神経はこれら全部を調整しながら、元気に働いとる。でも、運動が終わると、スーッと交感神経は静まり、副交感神経が代わって登場する。自然なリズムの中で、ちゃんと休息モードに移れるんじゃ。

つまり、交感神経が活発になるといっても、ストレスと運動とでは“質”が違うんじゃな。

ストレスは交感神経ばかりを働かせて、副交感神経を追いやってしまう。結果、リラックスができず、心も体もずっと緊張状態のまま、悪循環じゃよ。

だからこそストレスとは、ほどよい距離感でつきあうこと。そして、運動という“スイッチ切り替え法”を、ぜひ生活に取り入れてほしい。

そうすれば、自律神経もうまく働き、心も体もスッキリ。これが、賢いつきあい方というもんじゃな!

本を持つブル爺

< プロフィール >
ブル爺(79才)
元・文藝春秋の名物編集者。菊池寛の孫。現役時代は“締切破りの鬼”と呼ばれた男。
昭和・平成・令和の三時代を編集現場で生き抜いた、伝説の“締切番長”。
文藝春秋の創業者・菊池寛を祖父に持ち、編集者として祖父の会社に入社。
以来、時代を彩った作家・評論家・ジャーナリストたちを“ネジ伏せながら”育て、無数の名文を世に送り出してきた。
紅茶よりもコーヒー、和菓子よりもバタートースト派。
現在は引退後の“自律神経ケア”に目覚め、京大の森谷敏夫博士に弟子入り(?)し、健康についての学びを開始。
“体も心も編集できるのか”をテーマに、連載を通して問い続けている。

森谷敏夫氏の顔写真

< プロフィール >
森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

前の記事へ 次の記事へ
トピックス一覧へ