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【自律神経と健康の基礎知識】心拍変動と自律神経|ストレス状態の見方を知る

人間の全ての臓器は自律神経によりコントロールされています。
機能を亢進(こうしん)したり、心拍数を高めたり、いろいろなホルモンをしっかり出したりする時には、交感神経が働きます。朝の目覚めから夕方までは交感神経が優位で、交感神経が元気な時には、体温も上がるので、免疫の機能も高まって、風邪をひきにくいような状態で生活できるのです。

オレンジ色に染まる空

とはいえ、交感神経が優位な状態ばかりでは疲れてしまうので、日が暮れる頃には一日の疲れを取るように副交感神経に切り替わります。副交感神経は、食べ物の消化吸収をよくして、リラクゼーションを促し、血流をよくし、食べた物を体の中にうまく貯蔵したり、エネルギーを蓄えたり、明日のために安らぎを与えるようなホルモンを出したりして、健やかな眠りへと導いてくれます。

このように、自律神経には、交感神経と副交感神経のリズムがあり、これを日内(にちない)変動と呼びます。役割を分担し、スムーズに交替してバランスよく働くと、体調は自ずとうまくコントロールできるようになっています。

水辺に並ぶキャンドル

自律神経が一番しっかりコントロールしているのは心臓のリズムです。肝心要(かんじんかなめ)の心臓の拍動(はくどう)が、速く打ったり遅く打ったりするのは、自律神経の働きです。

自分の心拍数がどれくらいか、ご存じですか。
心拍数は1分間で何回心臓が拍動したかを表しますが、拍動ごとに計測してみると、心拍数は一定ではなく絶えず変化しています。健康な方ですと、呼吸による血圧の変化を少なくするために心拍数は大きく変化して、15拍以上も上がったり下がったりします。

これは脳に行く血流ができるだけ一定になるように、自律神経が血圧を調節しているからです。この心拍数の揺らぎがなくなると、心臓のリズムを制御している自律神経が機能不全を起こしていることになり、不整脈が起こって心臓突然死がやってくる。過労死の半分以上は、この心臓の不整脈による心因性の突然死なのです。心電図をきちんと測って自律神経を解析すると、突然死のリスクが非常によくわかります。

ハート形に置かれたメジャー

例えば、じっと立っていると30秒もすれば失神してしまうような起立性低血圧を伴う糖尿病の患者さんの場合、自律神経は全く動いていません。更年期障害がひどい方々も、自律神経が作動しないので、ホルモンの分泌がうまくできず、呼吸や血圧、体温、食欲の調節もほとんどできない状態に陥ります。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

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