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【自律神経と健康の基礎知識】座りすぎと自律神経|日常活動で鍛える理由を知る

「自律神経を鍛える」という言葉を私はよく使います。自律神経の活動能力、活動レベルを底上げするということです。
自律神経を鍛えるには、さまざまな方法がありますが、私の一押しはやはり運動です。運動には、筋力トレーニングや有酸素運動などいろいろな運動がありますが、どんな運動でも自律神経を活性化する効果があります。

自然の中をウォーキングする男女

朝、ただ単に安静にしている状態から速足で歩きはじめた。そうすると歩くためには筋肉にエネルギーを送らないといけない。心臓も速く打たないといけない。呼吸も少し速くなる。これらはみんな交感神経を興奮させて、体を臨戦態勢に持っていくことになる。運動するということは、自律神経を総動員して、特に交感神経を活性化して成り立っていくわけです。
一方、しっかり運動して、しっかり交感神経を興奮した後もずっと運動を続けているわけではありません。クールダウンする時期には、高くなった心拍数をゆっくりしていったり、呼吸を整えたり、血管を拡張して血圧が高かったのを少し下げたりします。今度は副交感神経が活性化することで安静な状態になるわけです。

ベッドで伸びをする女性

実際は、布団の上での足の上げ下げや背伸びなど、ちょっとした運動を日々行うように心がけましょう。足がつりやすいこともあります。それはミネラルが不足したりバランスが崩れたりして起きやすいのです。朝は、太陽に向かって深呼吸しながら体の筋肉をストレッチしましょう。

また、日本人は座っている時間がとても長いことが最近報告されています。

オフィスチェアに座る人

カナダで行われた研究では、18~90才の17013名の座っている時間と死亡率を調査した結果、13年間の追跡期間中に1832人が死亡しました。心臓循環器疾患759名、がん547名です。一日中ほとんど座っている人は4時間程度の人と比べると死亡リスクがかなり高くなることが明らかになりました。この研究では、全ての死亡原因と心臓循環器疾患の死亡率がなんと1.54倍も高かったのです。じっとしたままでなく、ちょっとした用事を見つけては、ちょこまか体を動かすように心がけるとよいでしょう。

階段を下る足元

このように、運動することで心拍数が上がったり、筋収縮の強さが変わったり、血圧が変わったりと、その都度自律神経で調節しないといけないわけです。これが鍛えるということです。だから、自律神経を活性化するには運動が一番良いのです。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

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