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【自律神経と健康の基礎知識】運動と自律神経|心拍・呼吸・体温との関係を知る

運動するとどういうことが起こりますか?
まず、脈が速くなります。
呼吸が荒くなる、
体温が上がってくる、
実はちょっと血圧も上がってくる。
これは、運動に対して自分の体を用意させているわけです。全部、自動的に行われるわけです。皆さんが息を速くしようとか、心拍数を速くしようとか思わなくても、運動がきつくなれば勝手に心拍数が上がっていきますし、筋肉は力を入れると勝手に血圧も上がるようになって血液が通りやすいようになります。
これらは自律神経によるものなのです。逆に言うと、ほとんどの運動、ウォーキングであろうとジョギングであろうと階段を上がろうとゆっくり歩こうと、全てこれ自律神経を活動させているわけです。そういう肉体的な活動全て、自律神経を直接刺激していることになるのです。

公園をウォーキングする足元

もともと更年期以降だとか、今お太りになっている方で自律神経の機能が弱い方、まず何がいけないのか。そういうふうになったのも、おそらく座っている時間が世界で一番長い日本人ですから、あなた自身も座って運動不足が長年続いたのではないでしょうか?運動不足が長く続いた結果として、自律神経の機能も年相応以上に低下している可能性があるわけです。自律神経機能を計測することができるのですが、年齢で言うと私の自律神経は、科学的には40才レベルだということが判明しました。私は今年74才です。

腕の筋肉を見せる男性

なぜ運動が自律神経と関係しているかというと、運動する時もホメオスターシス、心拍数とか血圧とか呼吸とか、色々なものを一定の状態に保とうとすることですが(恒常性維持)、そのために交感神経、副交感神経が働き合って自動的にできるようになっているわけです。

昔、私はアメリカに行った時、心臓を移植した患者さんがいました。心臓は脳死の方から移植をするわけですから、自分の心臓の神経も全部自分から切れていて、他人の心臓をそのままポンッと入れているだけで神経は繋がっていないんですね。そういう人の自律神経、心拍数はどうなるのか。そのような状況でも運動すると、アドレナリンとかホルモンが出て、血管を収縮させたり、筋肉を収縮させたりすることで、血液が心臓にリズミックに戻るので、ちゃんと運動すると神経が全く切れている患者さんの心拍数も、ちゃんと上がってくる。そのように、いろいろなホルモンも、交感神経あるいは副交感神経が働く時には動くわけです。

ウォーキングする男女

運動というのは、最も自律神経を刺激してあげる、あるいはその自律神経の調子をよくしてあげるベストの手段なのです。瞑想や自己訓練法で自律神経を鍛える方法というのもあるのですが、今、科学的に証明されているベストの方法はしっかりと運動することで、それが自律神経にとって非常に有効であるということです。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

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