Topics

【自律神経と健康の基礎知識】自律神経と運動習慣|ウォーキングと筋トレの効果を知る

緑の中で両腕を上げる女性

自律神経の機能は、いったん低下するともう回復しないのでしょうか。実は回復するのです。
更年期を迎えた女性30人くらいの人達を対象に、筋トレも含めた完全監視型のプログラムを週5日間、12週間続けました。

トレーニング前に比べ、5週目、12週目と、自律神経の働きが活発になってきます。運動を適度にやると、5週目、心臓を守る副交感神経がゆっくりと動くようになります。さらに12週目、交感神経もたちあがってきます。運動すると、割合早い時期に安静時の心拍数が落ち着きます。心拍数が80~90と比較的高い場合はどちらかというと交感神経が勝っていて、副交感神経はあまり動かない、というように自律神経が必要に応じて働くようになります。

それでは、自律神経を回復させるための具体的な運動法を紹介しましょう。
ウォーキングと筋トレの2種類で、誰にでも簡単にでき、かつ、自律神経を高める効果があります。そしてどちらも「メリハリ」をつけて行うことが大事です。

芝生を走る女性

まずは、ウォーキング。
「速歩→ゆっくり歩き→速歩」というメリハリをつけたウォーキングを1日20~30分、週3~5回を目標に行うとよいでしょう。速歩は初めて行う場合、1分でも構いません。ゆっくり歩きに切り替えて、呼吸が整ってきたらまた速く歩きます。各々3分ずつ交互に行えるようになるとよいですね。
ちなみに、3分で切り替えるのは自律神経が自動操縦状態になってしまうのを防ぐためです。

室内で腹筋運動をする女性

そして、筋トレ。
いわゆる自重(じじゅう)、自分の体の重さを利用したスクワットや腹筋、腕立て伏せのようなものがお勧めです。たとえばスクワットなら、ご自分の体重が60kgの場合、その「60kg」の重りをつけて運動をするので、太ももなど下半身によく効きます。筋トレについてもやはり3分を意識して、3分筋トレをすれば、3分は休憩したり歩いたりして他の動作に変えるようにするとよいでしょう。これも1日20~30分行うとよいですが、ウォーキングにしても筋トレにしても、朝・昼・晩に10分ずつ分けて行っても効果は変わりません。
そうして徐々に運動時間を増やしていけるとよいですね。

この記事を書いた人

森谷敏夫
京都大学 名誉教授
株式会社おせっかい倶楽部 代表取締役

1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授。テキサス農工大学では医用電子工学の研究者とともにNASAの共同研究に参加、宇宙飛行士の筋疲労や筋肉や体力 低下の予防に関する研究を行った。
1992年より京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年3月から京都大学名誉教授。同年4月から中京大学客員教授。

2007年に予防医療の普及推進をめざして立ち上げたNPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会二代目理事長となり、その成果を世の中に広め、具現化していくことを目的として2019年に株式会社おせっかい倶楽部を設立、代表取締役就任。

専門は応用生理学とスポーツ医科学。生活習慣病における運動の重要性を説き有酸素運動を推奨している一方、寝たきり患者や整形外科的に運動ができない人々のための骨格筋電気刺激についても研究を進め、「筋電メディカル®」という新時代のコンセプトを自ら提唱、医学や生活者によるセルフケアの可能性を広げる科学的なアプローチを精力的に行っている。

2024年、「筋電メディカル®」の考え方に基づき、ロコモティブシンドロームやフレイル対策を目標とした新型EMS「筋電メディカル®EMS(MyMed EMS)」を開発。運動生理学に基づき、筋肉がつく過程を、ハードウエア・ソフトウエア両面からの工夫で再現することに成功した。加えて、これまで困難であった体幹部の筋群(インナーマッスル)への刺激手法を開発し、フェムケアにも活用できるEMSとした(特許出願中)。

自律神経活動の研究においても多くの知見があり、自律神経のバランス(交感神経、副交感神経のどちらが優位な状態であるか)に加え、パワー(自律神経の絶対量。老化とともに減少することが知られている)がより重要であることを提言している。この自律神経測定は、通常、心電図解析と同等の精度が必要であるが、2024年、スマートフォンによりほぼ同精度の測定ができる機器の開発に成功した。

前の記事へ 次の記事へ
トピックス一覧へ