森谷教授が自律神経をご紹介
体調管理の重要な指標『自律神経』って?
こんにちは。京都大学名誉教授、おせっかい倶楽部代表取締役の森谷敏夫です。
私は人間が本来持つ力を引き出すために、からだの状態をコントロールして不調を防ぐ自律神経の働きについて研究しています。
毎朝起きた時に、からだの調子が良いとか寝覚めが悪いとか、はっきりとはしないけれど気になることがあります。実はこれも自律神経の状態と深いかかわりがあるのです。
自律神経は今や、一般によく使われる言葉で聞いたことがあると思います。
自分を律する神経と書き、自分の体の体調をほぼ全てコントロールする機能を持っているというのが自律神経です。
代表的なものでは、血圧の調節とかホルモンの分泌の調節、体温の調節、呼吸数など、いろいろ自分の健康を維持増進していくうえで非常に大事な機能をコントロールしています。
自律神経はさらに、機能を活性化させる交感神経と、逆にリラックスさせる手綱(たづな)を引くような副交感神経活動という2種類があります。
例えば交感神経が強く働き、疲れすぎたり集中しすぎたりした場合は、副交感神経の働きが強まりリラックスさせようとするなど、それぞれがからだの状態に合わせて最適な働きをします。
このように一日の中でも、自律神経の活動が体調や時間帯によって働きの強さを変えることを「日内変動(にちないへんどう)」といいます。
この自律神経の日内リズムがどうもうまくいかない場合もあります。
昼間活動しようとしてるのに交感神経の働きが強まらず、副交感が活発なためにやる気がなくてリラックスしすぎて集中力が高まらない、ということも起こりえます。
また自律神経が示すこのような体調変化のサインを見逃すと、「何となく体の不調を感じる」状態、例えば不定愁訴(ふていしゅうそ)、イライラなど様々な不調の原因となります。
あるいは女性の場合ですと、急にホットフラッシュ(更年期障害により起こるほてり、発汗)が起こったり、月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)という症状があったりします。
からだの不調を防ぐために、通常我々は体温を測るなどして体調管理をするのが一般的ですが、同様に、心身の不調を未然に防ぐため、自律神経を管理することは非常に重要な手段です。
からだの不調は自律神経で未然に防ぐ
人間のからだの調子と深いかかわりがある自律神経。どのように把握すると良いのでしょうか?
一般的には自律神経というと、交感神経と副交感神経のバランスのことを重視する傾向がありますが、これだけでは本来の自律神経の説明として十分ではありません。
バランスも大事ですけれども、それよりも重要なものはパワーという概念、これを総合して『自律神経パワー』といいます。
例えば交感神経と副交感神経のバランスを見ると完璧にバランスが取れているように見えても、実は交感神経と副交感神経がかすかに動いている。働きが弱すぎてバランスよく見えている、ということもあり得ます。
バランスは天秤のようなものです。天秤が全く同じ傾きだったとしても、例えば自律神経パワーで実際の自律神経活動レベルが全く違う可能性があります。
パワーが弱く暗くかすかに交感・副交感神経が機能しているのか、非常に強いパワーで自律神経が最高のパフォーマンスをしているのか。それによりからだのコントロールに掛かる影響は異なります。
そのため、自律神経パワーを最初に確認してからだのコントロール力を知り、自律神経バランスでコントロールの方向性を見ることを推奨しています。これにより自分のレベルがはっきりと把握できるわけです。
自律神経はその日の状態の心理的なストレスだとか体温だとか、女性の場合だと生理の周期とか、いろいろなものでその自律神経の活動のレベルとか交感神経と副交感神経のバランスがそれぞれ違うわけです。
日内変動が大きくなる可能性もあります。このような変動の状態も正しく把握するため、まずはご自身の「ゴールデンスタンダード」を理解しましょう。
ゴールデンスタンダードとは、あなたが一番安静にしている自律神経の活動レベル、あるいはその交感、副交感神経のバランスのことです。
これを知るためには、ある一定の例えば朝起きてゆっくりとストレスがないところ、ベッドの上など落ち着いた状態でスマホのアプリを使っての自律神経の測定を、おおよそ週5、6回やっていただいて、その平均値を算出します。
例えば今日なんとなく気分がすぐれないとかイライラするとか、そういう時に自分で自律神経をスマホで計測すると、いつもの私のスタンダードと比べると交感神経っていうのはかなり強くなっている。
また、なんか重い感じがするなあと思った時に測定してみると、あれ?普段の私の副交感神経のレベルがグーンとなんか生理前だけ落ちてる感じがする。
からだの不調や違和感などが気になった時に自律神経を測定して、ゴールデンスタンダードと対比させることで、ご自身のからだの状態の変化を理解することができます。
FCNTの自律神経を測定数る機能を搭載したスマートフォンでは、自律神経のパワーとバランスが測れるだけでなく、アプリ内でスタンダード値の管理もすることができます。
自律神経は鍛えて伸ばす
自律神経のことを理解して測定を始めると、自律神経のレベルが低下しているということに気づかれる場合があるかもしれません。その場合どうしたらいいのかというお話をします。
自律神経の機能をアップさせる一番いい方法は、運動なんです。
有酸素運動、筋トレ、いろんな運動をすることが自律神経にとってトレーニング効果を生むということが我々の研究論文でも証明されています。
例えば有酸素運動を始めると筋肉を使って交感神経を刺激して心拍数を上げるわけです。
次に軽いジョギングに入ったりすると、ゆっくりした副交感神経で血圧を元に戻したり心拍数を元に戻したり。運動の後には特に副交感神経が非常に活動してくる。
ですから運動を継続することは「自律神経を鍛える」ということになります。自律神経を鍛えて自分の年齢、自律神経年齢を若返らせようと思うと、やはり、お勧めは運動することです。
血圧を上げたり下げたり呼吸数を上げたり下げたり、いろいろなメリハリのある運動によって、実は自律神経が非常にチャレンジを受けているわけです。
では、バランスがうまく取れない方は、どうすればいいのでしょうか。
例えば夜リラックスすべき時間帯になってもなかなかリラックスしてくれる副交感神経が活発にならない。もっとひどい精神的なストレスで非常に影響を受ける方もいれば、物理的に影響を受ける方もいます。
そのような時に、アロマセラピーでアロマを嗅ぐと神経が刺激されてリラックスするかもしれない、また、ストレッチを行ったり、ヨガのポーズをとったりして副交感神経を亢進(こうしん)させてリラックスするかもしれない。
このように、自律神経の働きをコントロールするいろいろなやり方があるわけです。一人ひとりに最適な方法は、個人によってそれぞれ違います。
FCNTの自律神経を測定数る機能を搭載したスマートフォンでは、私が推奨する自律神経を鍛える方法を見ることができます。
ご自身に合った方法を見つけて、健康的な肉体を手に入れてください。
※ 自律神経パワーは株式会社おせっかい倶楽部の登録商標です。