誰一人取り残さない
デジタル社会の実現に向けて

FCNTの担当者が語る!
20年にわたる「らくらくシリーズ」の進化の歴史

FCNTの担当者が語る! 20年にわたる「らくらくシリーズ」の進化の歴史

富士通コネクテッドテクノロジーズから社名を変更し新たなスタートを切ったFCNT。2021年には、携帯事業30周年、同事業の代表的なプロダクトの一つであるらくらくシリーズも誕生から20周年を迎えるなど、着実な成長を遂げてきた同社。本記事では、累計700万台もの販売数を誇り、今もなお進化し続けるらくらくシリーズの、誕生から現在までの歴史、そして未来について担当者に語ってもらった。

コンセプトは「見る・聞く・話す」
シニア層の携帯電話普及に貢献

井上 欣也氏
井上 欣也氏
FCNT株式会社
プロダクト&サービス事業本部
プロダクト&サービス事業部 事業戦略グループ
プリンシパルプロフェッショナル

FCNTが、らくらくスマートフォンとらくらくホンの総称であるらくらくシリーズ事業を開始したのは、20年あまり前の2001年。当時はスマートフォン自体がまだ存在せず、携帯電話端末のらくらくホン「F671i」が、FCNTにとってのらくらくシリーズ初号機だった。開発の経緯について、プロダクト&サービス事業本部の井上欣也氏はこう語る。

「高齢化が進んだことで、NTTドコモ様からシニア向けの携帯端末に注力したいというオファーをいただいたことが、当社のらくらくホン開発のきっかけです。我々としてもシニアをターゲットとした携帯端末の開発は非常に興味深く、喜んで開発に着手しました」

そうして開発がスタートしたのが2000年、その翌年の9月には初号機の「F671i」を発売した。メールに慣れていないシニア世代が使いやすいよう、読み上げ機能をらくらくホン独自の機能として開発し、大きめの文字表示、シニアにも聞きやすい音質、連絡先を登録できるワンタッチダイヤル等、初めてのシニアユーザーに向けた端末リリースだった。
「シニア世代がターゲットなので、『見る・聞く・話す』という基本性能の使いやすさをコンセプトにしていました。併せて、シニアの関心の高い健康や安心といった要素も加味して、らくらくシリーズのDNAが形になっていきました」

ハードボタンのように安心で確実な操作を可能にした「らくらくタッチパネル」。ダイレクトに指先に振動を返す新タッチパネル構造によりユーザーが操作する際の安心感を実現している
ハードボタンのように安心で確実な操作を可能にした「らくらくタッチパネル」。
ダイレクトに指先に振動を返す新タッチパネル構造によりユーザーが操作する際の安心感を実現している

03年に発売した「F672i」では、世界で初めて端末に歩数計機能を搭載。翌04年発売の「F880iES」ではカメラ機能も装備されるなど、らくらくシリーズは着実な進化を続けてきた。中でも画期的だったのが、12年発売らくらくスマートフォン「F-12D」に搭載され、現行機でも採用され続けている「らくらくタッチパネル」だ。井上氏はその開発を担当している。

「こだわったのは、画面を押したときの押し感とクリック感です。携帯電話のボタンを押す感覚に慣れているシニアユーザー様が、ディスプレー面のどこでも、ボタンのように操作できるように、独自のセンサーと信号処理でカチッと押した感覚を再現しました」

ユーザーファースト設計の下、開発されたらくらくシリーズならではのこうした技術は、使い慣れたものからの変化に抵抗感を抱きやすいシニア世代の、スマートフォンに移行する大きな助けになったことだろう。最後に、今後の展望について井上氏はこう締めくくってくれた。

「シニアユーザー様に選んでいただくために、『見る・聞く・話す』そして使いやすさを進化させていくことはもとより、これからの高齢化社会では、健康寿命をいかに延ばすかが重要なテーマです。らくらくスマートフォンは、脈拍のモニタリングや認知症予防といった機能を充実させていってます。シニア以外の世代の方々にもぜひお使いいただいて、多くのユーザー様を元気にするお手伝いができればと思います」

らくらくシリーズのDNAを継承
シニアに特化した独自のUI設計

水島 晶子氏
水島 晶子氏
FCNT株式会社
ソリューション事業本部
先進技術センター

20年あまりの歴史を誇るらくらくシリーズだが、この20年で最も大きかった変化は、2012年にラインアップに加わったらくらくスマートフォンだろう。そして、スマートフォンの使いやすさを語るうえで、ハードウエア同様に重要なのがソフトウエアだ。

らくらくシリーズは、シニアユーザーの使いやすさを最優先するという設計思想の下、通常のスマートフォンとは異なる工夫をUI(ユーザーインターフェース)に施す必要があった。らくらくスマートフォン初号機以来、ソフトウエア開発に携わってきたソリューション事業本部の水島晶子氏はこう説明する。

「当時、シニアユーザー様にはスマートフォンに対する漠然とした恐怖心がありました。これは、うっかり触って設定が変わってしまうかもとか、必要のないアプリをインストールしてしまうかも、といった不安に対するもので、安心して使えるようソフトウエア側でサポートする必要があると考えました」

そこで同社では、シニアを対象に実機を使ったアンケート調査を行い、どうすればシニア層が使いやすくなるのかを徹底的に洗い出したという。その成果の一つに、らくらくホン時代から現在まで受け継がれる「対話型ウィザード」がある。

「何らかの操作を行った後、『本当に設定しますか?』などといった確認画面を表示するようにしました。シニアユーザー様に重要なのは、効率よりも確実にゴールにたどり着くことです。確実性を優先することで、シニアユーザー様にとって使いやすく安心な製品になったと思います」

また、アンケート結果をフィードバックした例として、押し間違いを防止するための工夫もある。例えばシニアユーザーは、文字の入力の際などで押し間違いが多く、誤動作につながる例が多かったため、ソフトウエア上でキーボードの位置をミリ単位で調整している。

こうした開発マインドは、最新機種「F-52B」にも遺憾なく発揮されている。初号機発売当時と違い、シニアユーザーもスマートフォンの操作に慣れてきている傾向を踏まえ、カメラに搭載する機能を充実させたり、詐欺対策としてセキュリティ機能を強化したりといった進化を続けている。

「私は、現在はソフトウエア開発を離れてソリューションを担当していますが、議論しながら最適な形を追究した経験は今後も忘れることはありませんし、今後のソリューション開発にも生かせると考えています」

技術力に加えてこうした開発マインドが社内で共有されているのも、らくらくシリーズが20年間で培ってきたノウハウの強みの一つだと言えそうだ。

一般的なスマートフォンの進化とは異なる
独自の進化を遂げ続けるモデル

佐藤 賢利氏
佐藤 賢利氏
FCNT株式会社
プロダクト&サービス事業本部
プロダクト&サービス企画統括部

シニア世代がスマートフォンを使うに当たって不安に感じることは多いが、故障ももちろんその一つ。

「FCNTのらくらくスマートフォンの特徴として以前から高い評価を受けている点の一つが、堅牢性や防水性です」と語るのは、プロダクト&サービス事業本部の佐藤賢利氏だ。

「スマートフォンは日々使うものなので、当然故障は起こり得るものです。それがシニアユーザー様の場合、壊れたときの対応・対処は精神的にもご負担になってしまうので、らくらくシリーズのかなり早い段階から構造試験を繰り返して、堅牢性を実現しています」

らくらくシリーズが、ハードウエアにおいてもユーザー目線で開発されてきたことがうかがえる。もちろんこうした考え方は、現行製品にも生かされている。

スマートフォンは、高機能化や大画面化、バッテリーの大容量化といったさまざまな進化を遂げてきた。フラッグシップ機や幅広い世代向けの一般的なモデルなら、こうしたデバイスの進化やトレンドを反映させる形で開発が進むことが多いが、らくらくシリーズは必ずしもそうではない。

「らくらくスマートフォンの、最新機種『F-52B』でも、カメラ機能やセキュリティの強化、5G対応、電池容量の改善といった進化を遂げています。ただ、例えば大画面化に関しては、筐体が大きくなると持ちにくくなってしまうという課題があります。やみくもに大きくするのではなく、シニアユーザー様にとっての持ちやすさや重さのバランスを考えながら設計されているのが、らくらくスマートフォンの設計思想なのです」

カメラのレンズでも同様の配慮が見られる。一般的なスマートフォンでは、カメラは端末の左上に配置されているが、カメラに慣れていないシニアユーザーは指がレンズにかかってしまうことがあるため、一貫して中央にレンズを配置している。

「変化を続けるデジタル社会で、誰一人取り残さないという意味で、本当に使いやすいスマートフォンを作り続けるのがらくらくシリーズの使命だと思っています。これからもシニアユーザー様の要望をしっかり製品開発に反映していきたいと思います」

「つながりの要」を通して
ライフスタイルを豊かにする体験を提供

正能 由紀氏
正能 由紀氏
FCNT株式会社
プロダクト&サービス事業本部
サービス開発統括部
第一サービス開発部 部長

スマートフォンを持つからには、インターネットを使いこなすことによる楽しさや利便性を体験することは欠かすことのできない要素だ。シニア層をターゲットとしているらくらくスマートフォンとしても、「使いこなせる喜び」と「社会とのつながり」を重視している。それらの象徴的なものの一つにSNSの活用が挙げられるが、シニア世代が初めてSNSを利用する際、当然不安を抱くケースは少なくない。

「安心と分かりやすさを担保し、SNS初心者の方にも人や社会とつながる入り口としてご利用していただきたいという思いで提供しているのが『らくらくコミュニティ』です」と語るのは、プロダクト&サービス事業本部の正能由紀氏だ。

「らくらくコミュニティ」は、趣味のコミュニティ、写真や俳句のコンテストといった交流の場の他、読み物記事や脳トレにもなるクイズ・ゲームなどのコンテンツが充実するシニア向けのSNSだ。運営側が個人情報の漏洩などがないよう、24時間投稿の監視をするなど、SNS初心者がトラブルに巻き込まれないような配慮がなされている。

シニア向けSNSサービス「らくらくコミュニティ」。利用者同士の交流を促進する生活や趣味に関するコミュニティの他、各種イベントの実施などさまざまなコンテンツをラインアップしている
シニア向けSNSサービス「らくらくコミュニティ」。利用者同士の交流を促進する生活や趣味に関するコミュニティの他、各種イベントの実施などさまざまなコンテンツをラインアップしている

「らくらくコミュニティ」のリリースは12年。らくらくスマートフォン初号機「F-12D」の誕生に合わせてスタートしたが、より開かれたコミュニティにアップデートするため、19年には大規模なリニューアルを実施している。この意図について正能氏はこう話す。

「毎日来たくなるような新しい情報により触れやすく、これまで以上に参加しやすく、つながりの広がるコミュニティを目指し、見るだけで楽しいタイムライン表示や各種イベントの拡充をしました」
一方で、シニア層は変化に対する抵抗感を持たれることも多い。そのため、当時一部では反発の声もあったが、同社のユーザーの声を真摯に受け止めた誠実な対応から、リニューアルの意図も徐々に理解され、現在では会員数も250万人を突破するほどの支持を得ているという。「らくらくコミュニティ」の現在の位置づけについて正能氏はこう語る。

「スマートフォンを使ううえで欠かせない『つながりの要』だと考えています。らくらくスマートフォンをお選びいただいたユーザー様同士だけでなく、ご登録いただいた多くの方に共感や応援をし合える場としてご活用していただけていることを本当にうれしく思います」

「つながり」を重んじる同社らしさが「らくらくコミュニティ」にも表れているのだ。最後に、今後の展望を正能氏はこう語った。

「スマートフォンは購入してからがスタートなので、便利に楽しく使い続けていただきたいというのが一貫した考えです。また、22年2月からは、『らくらくコミュニティ』も含めた統合会員サービス『La Member’s』もスタートしました。ますますユーザーの方とのつながりを深め、一人ひとりに寄り添いながらライフスタイルをアップデートする体験をお届けできればと考えています」

超高齢化社会に向かっていく日本にとって、同社のらくらくシリーズは、今後もさらに注目を集めそうだ。

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