

新生arrowsシリーズの挑戦
~未来を見据えたら“エシカルライフ”に行きついた~
FCNTの主力製品である『arrows』が、ブランドを7年ぶりに刷新。新しい時代に向けた『arrows』のブランドコンセプトは“エシカル”だ。パフォーマンスの向上や機能を充実させるだけではなく、環境や価値観の変化にも対応し、ユーザーのライフスタイルを豊かにするスマホを目指す。今回は新生『arrows』が挑む新境地と、そのコンセプトを具現化した『arrows N F-51C』(以下、arrows N)を紹介していこう。
過去のコンセプトを継承しつつ
アップデートされた新コンセプト
リブランディングされたコンセプトを紹介する前に、まずは『arrows』のこれまでの歩みを振り返ってみる。
『arrows』は、2011年にリリースした『F-05D』を皮切りに、10年以上に渡り常に進化を続けてきたスマホだ。第1世代は“次の時代のハイスペックスマートフォン”を理念として、端末のパフォーマンスを追及。積極的に先進技術を取り入れ、スマホの可能性に挑戦した。2015年には理念を“人を想えば、進化はとまらない。”に刷新し、端末のパフォーマンスに加えて、人を中心とした使いやすさを探求。スマホの実用性を高めてきた。

そして、第3世代となる今回は“あなたへ、一歩進んだ日常を。”を理念として掲げ、ユーザーを取り巻く状況の変化に対応し、新しい時代を見据えた生活様式や価値観“エシカルライフ”を実現するためのブランドを目指す。パフォーマンスと実用性を両立した『arrows』が挑むのは、端末の開発だけにとどまらない。
生活のデジタル化や働き方の自由化といった変化、温暖化問題や資源問題といった社会的な課題などに向き合い、ライフスタイルの変革に挑むのだ。
今回のリブランディングでは、ロゴも刷新されている。従来は、小文字のアルファベットで、すべての綴りを表記していたブランドロゴのみだったが、今回はブランドロゴと、コミュニケーションロゴの2つが新しく作られ、頭文字の“a”には、そのデザインにコンセプトがギュッと凝縮され、『arrows』が目指すブランドの在り方を示している。

リサイクル素材でも
“いつもと変わらない”が新生『arrows』
新境地に挑む『arrows』の第1弾として開発されたのが、2022〜2023年冬春モデルとして発売予定の『arrows N』だ。真っ先に取り組んだのは“リサイクル材の使用”と“製品の長寿命化”。FCNTは『arrows』をリブランディングする以前からサステナビリティに取り組んでおり、環境への負荷を軽減するには、製品を可能な限り長く保全・維持して、廃棄物の発生を抑える“サーキュラーエコノミー”(循環型経済)に基づく開発を推進している。『arrows N』は、その思想に基づいて開発されており、電子部品を除くパーツの約7割にリサイクル素材を使用。『arrows』史上、最もサステナブルな端末に仕上げた。

スマホの2017年度から2021年度までの国内出荷実績。最も少ない2019年度でも約900万台出荷されており、2020年度、2021年度は1000万台を超えている。SDGsの目標に掲げられている“つくる責任、つかう責任”を意識すれば、サーキュラーエコノミーに基づく開発は当然だ。

とはいえ、素材の変更は製品の堅牢性や性能に影響するだけに、お手軽にできることではない。FCNTの従来製品では、リサイクル素材を使用していても数パーセント程度。ノウハウが少なく、素材メーカーを探すところからはじめなければいけなかった。未知の領域に近いリサイクル素材を使用したスマホの開発を担当したのが、同社プロダクト&サービス企画統括部のプラットフォーム開発統括部でプリンシパル プロフェッショナルを務める田中 健太郎氏だった。
「部品の素材に変更することは、大変なことなんです。落下試験や曲げ試験を実施して、必要な仕様をクリアできるリサイクル素材を探さなければいけません。今回は4か月ほどで条件を満たす素材にできましたが……次回、素材を変更することがあったら1年くらいはほしいですね(苦笑)」

Kentaro Tanaka
FCNT株式会社
プロダクト&サービス事業本部
プラットフォーム開発統括部
プリンシパルプロフェッショナル
「『arrows N』は、いかにも環境に配慮したモデルですよというデザインではなくて、ごく普通のスマホに見えると思います。長く使ってもらいたいですし、従来モデルと比べても、違和感のないデザインや触り心地を実現しました。ちょっと自慢です(笑)」と語る田中 健太郎氏。
スマホの部品として使うには、強度や靭性といった条件を満たす必要がある。品質が悪いリサイクル素材を選んでしまうと、不純物がたくさん入っており、割れやすいなどの不具合につながる。『arrows N』は、地道に試験を繰り返し、リサイクル素材でも品質は妥協せず、真摯に検討した結果なのだ。
加えて『arrows N』では、充電制御技術により、バッテリー寿命が極めて長いうえに、OSのアップデートを最長で4年間サポートするなど、製品の長寿命化を実現している。IPX5/8クラスの防水性能に加えて、IPX6クラスの防塵性能も備え、ハンドソープで丸洗いしたり、アルコールで除菌したりといったことが可能で、手入れが簡単にできる点もエシカルライフを後押しする。

リサイクル素材がふんだんに使われていることが特徴の『arrows N』だが、そのスペックや使いやすさといった面も妥協していない。本製品の実力を紹介していこう。
基本性能はCPUにはオクタコアのSnapdragon 695を採用し、8GBのメモリーと128GBのストレージを搭載。ディスプレイには120Hz表示の6.24インチ有機ELディスプレイを採用。

センサーサイズが従来機に比べて約1.65倍に拡大された広角レンズのアウトカメラ(有効画素数:約5030万画素)を備えるなど撮影機能も充実している。
一方、使いさすやの面でも抜かりない。マスクをしたまま認証できる顔認証のほか、指紋認証も備えており、多要素認証を手軽に利用可能で強固なセキュリティを手軽に使える。さらに、ビジネスシーン向けの設定とプライベートシーン向けの設定を自動的に切り替えられるプライバシーモードも搭載。ユーザーの日常をスマートにサポートしてくれる。

先進技術を取り入れたスペックと使いやすさを重視した機能性を確保しており、従来のブランドコンセプトを継承しながらも、新しい時代に向けて進化した『arrows』シリーズに仕上がっている。
FCNTはユーザーの生活を
便利にするだけじゃ満足しない!
67パーセントもの部材をリサイクル素材に置き換え、極限までサステナビリティを追及した『arrows N』。もちろん、これで新生『arrows』の挑戦は終わりではない。今回の取り組みは第1歩に過ぎないと語るのは、同社のプロダクト&サービス企画統括部でプリンシパル クリエイティブ プロフェッショナルを務める荒井厚介氏だ。
「『arrows N』は、新しいブランドコンセプトの1号機(第1弾)として、弊社が“いまできること”を最大限に考えた結果です。2025年には、バッテリーやディスプレイなどの電子部品を除くすべての部品を環境配慮素材に置き換えることを目標にしています」
『arrows N』の取り組みは、あくまでも第1歩。新生『arrows』の挑戦は、はじまったばかりだ。さらなるサステナビリティを実現した“エシカル”『arrows』の登場が楽しみになる。

Kosuke Arai
FCNT株式会社
プロダクト& サービス企画統括部
プリンシパル クリエイティブ
プロフェッショナル「『arrows N』のような環境に優しい製品を選ぶことも、エシカルライフに結びつく行動ですが、それだけではなくエシカルライフを後押しするためのサービス展開も予定しています。期待していてください!」と意欲を見せる荒井 厚介氏。
サステナブルなスマホとしてリブランディングされた新生『arrows』。道具としての利便性だけではなく、ライフスタイルの変化をリードして、人にやさしい豊かな社会の実現が目標だ。サーキュラーエコノミーを実現した端末とサービスで、ユーザーを“一歩進んだ日常”につなげていく。